CERD緊急行動要請 2012.2.24 最終版(日本語).pdf
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早期警告と緊急行動手続に基づく国連人種差別撤廃委員会への要請
朝鮮学校に対する高校無償化からの排除と補助金停止・削減について
2012年2月24日
外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク
在日本朝鮮人人権協会
反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)
1.はじめに
私たちは、在日朝鮮人の子どもが置かれている状況に関して、人種差別撤廃委員会による早期警告と緊急行動を要請する文書を提出する。私たちは、日本の中央政府が朝鮮学校に「高校無償化」を適用せず、国庫による財政的支援を怠り続け、また、5つの都府県が朝鮮学校への補助金を停止あるいは削減している現状が、人種差別撤廃条約第5条(e)(D)の教育権の平等な保障に違反し、かつ、貴委員会の早期警告と緊急行動の指針のうちのひとつ((a)社会的・経済的指標による証明された、著しく持続的な人種的差別の型(繰り返し)の存在)に該当すると考えるものである。
2.問題点
在日朝鮮人は日本による朝鮮植民地支配を原因として日本に渡航し、日本の敗戦後も様々な困難のもとで日本に定住せざるをえなかった民族的マイノリティである。在日朝鮮人は、植民地支配下で奪われた、自らの言語や文化を継承するため、日本による植民地支配からの解放後、日本各地に自力で民族学校を設立した。
しかし、日本政府は朝鮮学校を正規の学校として認めず、中央政府からの財政援助が一切ないこと、大学入学資格、税制上の優遇措置等、様々な制度的差別を加えてきたが、朝鮮人コミュニティは、それらの差別に屈せず現在まで60年以上朝鮮学校を維持してきている。現在も幼稚園から大学まで、全国の約70校で、国籍に関わらず、約1万人の朝鮮民族の子どもたちが学んでいる。
2010年4月、日本の中央政府は、家庭の状況に関わらず、全ての意志ある高校生等が高校段階の教育を受けることができるようにすることを目的として、高校無償化法を施行し、日本にある公立高校の授業料を徴収しないこととし、私立学校、そして外国人学校の生徒にも、公立高校授業料に相当する金額を支給するとした。法制定以降、すでに33の外国人学校の生徒たちが就学支援金を受給したにも関らず、朝鮮学校の生徒たちは未だ適用から排除されており、受給していない。
委員会が、2010年2月の日本審査の際に、高校無償化法の制定に際し、朝鮮学校を排除するべきことを提案している何人かの政治家の態度につき、子どもの教育に差別的効果をもたらす行為として懸念を表明し、「教育機会の提供において差別がないよう確保すること、ならびに、締約国の領域内に居住する子どもが就学および義務教育の修了にさいして障害に直面することのないよう確保すること」を勧告した。しかし、日本政府はその勧告を完全に無視している。日本政府は朝鮮民主主義人民共和国と日本間の外交問題を理由として、朝鮮学校の子どもたちを差別している。朝鮮学校の生徒たちのみ授業料への支援がないために、朝鮮学校への進学や進級を断念せざるをえない子どもも多く、マイノリティの教育権が侵害されている。
他方、従来から中央政府は外国人学校に一切の財政支援を行っていないが、朝鮮学校が存在するすべての都道府県は朝鮮学校に補助金を支給してきた。しかし、中央政府による高校無償化からの朝鮮学校はずしに力を得て、日本における反朝鮮の人種主義が高まり、5つの都府県が補助金を停止または削減させるという新しい事態を引き起こすに至っている。大阪府の場合、補助金の停止により10校ある学校のほとんどは、4ヶ月の教職員の給料遅配などの財政危機に陥っている。
3.委員会に対する要請
本来、日本政府は、日本も批准している人種差別撤廃条約、自由権規約、社会権規約、子どもの権利条約、女性差別撤廃条約等の国際人権諸条約の要請により、また、旧宗主国として植民地支配により民族の言語・文化の教育を奪った責任を償うべく、同じ民族の子どもたちとともに、その民族の言語・文化・歴史を学ぶ権利を保障する責務がある。朝鮮学校はまさに、このような民族的マイノリティの教育権を保障する場である。
以上により、私たちは貴委員会に対し、敬意を込めて、早期警告と緊急行動手続において、下記の行動を行うよう、要請するものである。
a) 日本政府に対し、朝鮮学校の「高校無償化」からの排除は特定のマイノリティに対する明らかな差別であり、条約違反であることを明確に示すこと
b) 日本政府に対し、この問題に関する委員会からの2010年3月の勧告第22パラグラフ履行のために、その後とられた措置について直ちに報告するよう要求すること
c) 日本の中央政府に対し、朝鮮学校の「高校無償化」からの排除を直ちに見直し、その対象校とするよう要求すること
d) 仮に日本政府が朝鮮学校の「高校無償化」からの排除を継続する場合は、その理由を明示するよう要求すること
e) 日本政府に対し、朝鮮学校への補助金の削減・停止をとりやめ、少なくともこれまでどおりの補助金を支給するよう、地方政府と共に必要な措置を取ること、かつ、日本の学校との平等取り扱いの観点から、補助金増額も検討するよう要求すること
f) 日本政府に対し、朝鮮学校をはじめとする外国人学校に対する制度的差別を見直し、日本の学校と同等の支援を行うよう法を整備し、マイノリティの教育権を保障するよう要請すること

